エサレンマッサージは1960年代にアメリカ、カリフォルニア州のビックサーに設立されたエサレン研究所で生まれたマッサージです。エサレン研究所は60年代初頭、ヒューマンポテンシャルムーブメントの最初のうねりが起こった場所の一つとしても有名です。研究所では心理学や哲学、人文科学、東洋思想などとともにボディーワークと称される身体への新しいアプローチも探求され、「体」は単に肉体としてだけでなく、そこには「感情」や「心」「記憶」、さらに「エネルギーの流れ」や「精神性」といったものが備わっているというアイディアのを多くの人々と共に探ってきたのです。これらの人々の中には、現代のボディーワーク界では世界的に有名な、ロルフィングのアイダ・ロルフ、トレガーアプローチのミルトン・トレガー、フェルデンクライスのモーシェ・フェルデンクライスなどの各ワークの創始者らが名を連ねています。
今から約50年ほど前のアメリカではマッサージと言えば、昔ながらのスウェディッシュマッサージを元にしたものが主流だったようですが、新たなアイディアを学び、研究する事によってマッサージの手法や在り方を大きく変えたのがエサレンマッサージだと言われています。そこには従来行われていた体を部分ごとにとらえるやり方や決まった手技を繰り返すだけのやり方ではなく、体をホリスディックにとらえ、統合感や一体感、心、体、スピリットのバランスを考えるアイディアが付け加えられました。さらには東洋の考え方から「経絡」「気」のアイディアを学び、当時のアメリカではほとんど考えられていなかった、人間の体を単なる肉体だけでなく、エネルギー体としてもとらえるようになっていったのです。
現在、エサレンマッサージを評する言葉はとても沢山あります。ゆったりとした浮遊感、波のリズム、瞑想的、深い、ダイナミックな、包み込むような、まとまり、体への意識、空間の広がり、癒し、アート、直感的、など様々です。その理由は、エサレンマッサージが「何かに対して何かをする」のではなく、「何かと共に在る」事を大切にしているからです。その人と共に在る事、それはそのままその人にとって、今、この瞬間に何が最も必要なのかに気づく事につながります。
エサレンマッサージの手技は多彩です。体を揺らすロッキング、ダイナミックなストレッチ、筋肉をしっかりととらえるディープワーク、チャクラバランスや磁界の流れなどを意識するエネルギーワーク、統合感をもたらすロングストローク、各部組織や特定部位へのディーテールワークなど例を挙げれば切りがありません。それらの手技には前述の数多くのボディーワークのアイディアが織り交ぜられており、様々な状態や状況に合わせてのセッションを行う事を可能にします。そしてそれらのテクニックを十分に駆使しながら、その人その人に合ったセッションを行うためには、今、眼の前の「体」が何を必要としているのかに気づく事がとても大切になります。
エサレンマッサージのプラクティショナー(施術者)は「共に在る事」を通して体の声を聴き、より良い方向へと導いて行く努力をします。そこには「気づき」や「つながり」といったアイディアがもたらされ、クライアントに瞑想的な感覚と自分の体に体する深い感覚を与える事でしょう。
エサレンマッサージのクオリティーの高さには、そのしっかりとした認定制度があります。「エサレンマッサージ」のプラクティショナーになるためには、研究所の認定する資格認定コースを修了しなくてはなりません。それ以外の人達は「エサレンマッサージ」を提供する事を禁止されています。
このコースで取得した単位は、カリフォルニア州によって認められるNCBTMBの認定単位となる為、州の定める一定の基準を満たしたプログラムとなっています。アメリカで公に認められる単位の取得を必要とする方にも最適です。
1961(62)年、この施設はマイケル・マーフィーとリチャード・プライスによって、ヒューマンポテンシャル(人間の持つ可能性)の発達を新たな試みを通して探求する場として開かれました。当時大学で知り合った2人は、今まで自分達が教わって来た事に対する疑問から、人としてより良く在るには、と言ったテーマを探求するセンターを創ろうと意気投合します。そして折りよくマーフィー家が所有していた温泉保養地を気に入った2人は、そこを「エサレン研究所」と名付け、早速あちこちから著名な先駆者を招き、ワークショップやセミナーを開きました。ゲシュタルト療法で有名なフリッツ・パールズやセンサリー・アウェアネスのシャーロット・シルバー、エサレンで有名になったロルフィングのアイダ・ロルフ、フェルデンクライスのモーシェ・フェルデンクライス、トレガーワークのミルトン・トレガーなどなど、ここでは主にエサレンマッサージに影響を与えた先駆者達の名前ばかり挙げましたが、まだまだ沢山の著名人が多くの足跡を残し、多大な影響を与えたと言われています。
現在、エサレン研究所には「ROLF」「Huxley」「Maslow」「Fritz」など先人達の名をつけたセミナールームがあり、その業績を讃えています。
現在のエサレン研究所/Esalen Institute は人文科学、哲学、心理学、ヨガ、マッサージ/ボディーワーク、音楽、アート、コミュミケーションなど、年間に約500種類ものワークショップ/セミナーを提供する非営利の教育センターとして知られています。年間何万人もが訪れるこのこの場所の魅力の一つは、27エーカーもの広い敷地と自然の美しさです。カリフォルニア州の中でも屈指の景勝地であるビック・サーにあるこの土地では、アメリカでは珍しく海岸に温泉が湧いているため、眼の前に広がる海を望みながら入る温泉は来訪者の最大の楽しみでもあります。ワークショップ/セミナーは2泊程度の物から1ヶ月、またはより長期の物まで様々あり、最大約130人程の参加者を受けれる事が出来る施設は昔ながらの面影を残しつつ、どこか懐かしい居心地の良い空間を提供してくれています。
ちなみにエサレン研究所の「Esalen」はその昔その土地に住んでいた「エサレン族」(essalen族)にちなんで付けられた名前です。
現在、約60名の日本人プラクティショナー会員となっている日本エサレンマッサージ&ボディーワーク協会。研究所にあるEMBA(Esalen Massage & Bodywork Association)と協力して日本で活動するプラクティショナーの為に活動しています。
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※ 各クラス詳細について エサレンマッサージトレーニング事務局